毎日夜19:30に更新中!腸内細菌相談室。
現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠
今回のエピソードでは、概日リズムと腸内細菌叢が関係することを示す研究として、時計遺伝子や性別と腸内細菌叢の関係についてお話します。前回までに、ヒトを含めた生物は時計遺伝子と時計タンパク質の共同による構成される体内時計の仕組みについてお話してきました。また、体内時計によって体内の代謝は調節されており、血圧、エネルギー代謝など多くの反応が概日リズムの制御下にあることもお話してきました。今回は、私達のパートナーである腸内細菌叢と概日リズムの関係についてご紹介します。
このお話は、聴いて楽しむポッドキャストでも公開しております!ぜひ遊びに来てください!
https://open.spotify.com/show/5cg5yMYD7FA9NQSSbksEVx
今回の研究では、時計遺伝子の腸内細菌叢に対する影響を調べるために、C57BL/6系統のマウスと、時計遺伝子の一種であるBmal1を欠損させたノックアウトマウスを実験には使用します。
Bmal1は、clockの時計タンパク質と複合体を形成して、cryとperの遺伝子発現を促進することを、前々回のTTFLに関するエピソード#141でお話してきました。
実験に使用したマウスは、10-14週齢のマウスで、同一の食生活、同一の光条件で飼育をします。これらのマウスについて、飼育時の糞便を採取し、腸内細菌叢構造の時間依存性を調査していきます。
解析の結果、Bmal1をKOしていないマウスの腸内細菌叢については、Bacteroidetes門、Firmicutes門、Proteobacteria門の細菌それぞれについて、存在量の変動が確認されました。
一方、Bmal1をKOしたマウスについては、通常のマウスと比較して細菌量の推移は同様のパターンが確認されました。相対存在量の観点からは、通常のマウスと比較してBmal1をKOすることで、腸内細菌叢組成の変動が抑制されていることが確認されました。
上記の結果を、マウスの性別により分けた上で改めて解析したところ、性別によってBmal1の欠損に伴う腸内細菌叢の変化が影響を受けることが示唆されました。例えば、雄マウスではBmal1欠損によりPlevotella属の減少が確認されたのに対して、雌マウスではBmal1欠損によりPlevotella属の増加が確認されています。このように、腸内細菌叢は時計遺伝子と性別の両方の影響を受けることが、実験より示唆されています。
こうなると、時間生物学において腸内細菌叢は密接に関係することが考えられます。今後、腸内細菌叢の観点から食事の時間帯について考える時代が来るかもしれませんね!
以上、時計遺伝子と性別が与える腸内細菌叢への影響についてのお話でした。
今回のお話がもし面白いと思って頂けたら、第4回 JAPAN PODCAST AWARDSのリスナー投票に投票していただけると活動の励みになります…!🧬🧑🔬🦠皆様と一緒に、腸内細菌、腸内環境の知識を常識にしていきたいです。投票フォームは、以下のリンクから! 投票の名前は、「腸内細菌相談室」でお願いします!残すところ、投票期間は1日に迫ってきました!ご協力お願いします…!
https://ssl.1242.com/aplform/form/aplform.php?fcode=jpa2022_listener
腸内細菌相談室は、腸内細菌について分からないことがある、あなたのために存在します!わからないこと、難しいこと、紹介してほしいことがあれば、メッセージお待ちしております。論文の紹介から、基礎知識の解説まで、腸内細菌相談室を使い倒して下さい!あなたのリクエストが番組になります。
こちらがTwitterです!
https://twitter.com/chonai_saikin
インスタグラムはこちらです!
https://www.instagram.com/chonai_saikin
本日も一日、お疲れさまでした。
Liang, Xue et al. “Rhythmicity of the intestinal microbiota is regulated by gender and the host circadian clock.” Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America vol. 112,33 (2015): 10479-84. doi:10.1073/pnas.1501305112