#12 毎日アボカドを食べて食物繊維分解可能な腸内細菌を増やす?

更新日: 2022/09/03

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現役の腸内細菌研究者がお届けする、腸内細菌相談室。
室長の鈴木大輔です。

本日は、不飽和脂肪酸の摂取をすることができる、栄養満点の野菜、アボカドと腸内細菌叢に関する研究を紹介します。

皆さんは、アボカド、食べていますでしょうか?私はアボカドが大好きで、普段から良くサラダやアボカドマグロ丼としてアボカドを食べています。でも、値段が高い場合もあるので、熟して値引きされているものを好んで買うようにしています。

この研究は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で行われた研究で、2020年に公開された論文です。毎日食べるアボカドの重要性に、腸内細菌の視点で迫ります。

この内容は、ポッドキャストでもお楽しみ頂けます。

https://open.spotify.com/episode/4IU5ZXIqYEpKgdLtzI5293

12週間のアボカドの継続的な摂取で、細菌叢の構造が変化する

今回の研究では25-45歳の163人の成人に対して、12週間の試験を行いました。BMIは25以上の集団で、年齢、性別、内臓脂肪率、空腹時グルコース濃度に基づいて無作為に2群に分け、アボカド入あるいはアボカド無のカロリーとして等価な料理を1日1回、12週間に渡り摂取しました。ここで、アボカドの量は男性で175 g、女性で140 gと量を変えています。

糞便中の腸内細菌叢は、16S rRNA遺伝子に基づいて解析しました。また便中の代謝産物に関する解析を行いました。

結果、アボカドの摂取により、対照群と比較して、α多様性が増加しました。α多様性とは、個人の腸内における種の多様性を示しています。つまり、アボカドの継続的な摂取により、腸内細菌の多様性が増加したということです。

また、アボカドの摂取によりFaecalibacterium、LachnospiraおよびAlistipes属菌が26%~65%、相対存在量として増加しました。また、アボカドを摂取した群は対照群に比べ、糞便中の酢酸濃度が18%、脂肪酸としてのステアリン酸濃度が70%、パルミチン酸濃度が98%高く、胆汁酸であるコール酸およびチェノデオキシコール酸濃度はそれぞれ91%、57%低いことが確認されました。

Lachnospiraの存在量は、糞便中のコール酸濃度および血漿中インスリンAUCと負の相関を示していました。Faecalibacteriumは、ブチルCoAの作用により、酢酸2分子を酪酸に変換できる胆汁の代謝に関連する細菌で、肥満や代謝機能障害のある人では存在量が少ないことが知られています。本研究におけるアボカド摂取による糞便中胆汁酸濃度の減少は、Faecalibacteriumのブルームが関連していることを示唆しています。

Faecalibacterium、Lachnospira属は食物繊維を短鎖脂肪酸等に変換することが可能な細菌群です。したがって、アボカドの3ヶ月の摂取で、食物繊維の分解を好む腸内細菌を増やすことができることが示されたのです。

アボカド、毎日(食べれたら)食べたい。

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それでは、本日も一日、お疲れさまでした。

参考文献

https://academic.oup.com/jn/article/151/4/753/5893497

Sharon V Thompson, Melisa A Bailey, Andrew M Taylor, Jennifer L Kaczmarek, Annemarie R Mysonhimer, Caitlyn G Edwards, Ginger E Reeser, Nicholas A Burd, Naiman A Khan, Hannah D Holscher, Avocado Consumption Alters Gastrointestinal Bacteria Abundance and Microbial Metabolite Concentrations among Adults with Overweight or Obesity: A Randomized Controlled Trial, The Journal of Nutrition, Volume 151, Issue 4, April 2021, Pages 753–762,

https://doi.org/10.1093/jn/nxaa219


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