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現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠
便秘集中講義、第2回の今回は、ウンチに行きたくなる仕組みに迫ります。便秘とは、本来ウンチに行きたくなって排便をする機会を逃してしまっている状態です。ですから、通常時においてウンチに行きたくなる仕組みを知ることはとっても重要です。かなりマニアックなお話が連続しますが、このエピソードを理解すれば、ウンチを出したくなる仕組みがわかります!最後までお付き合いください!
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ウンチへ行きたくなる仕組みを知る前に、ウンチとはそもそも何なのか、その正体に迫ります。2015年、イングランドのクランフィールド大学の研究では、便や尿の正体を調べるレビュー論文を発表しています。
本報告によると、糞便のpHは6.64と弱酸性、74.6%が水分であり、25.4%の乾燥固形成分の中で25-54%が腸内細菌に由来する有機物、残りはタンパク質や繊維、炭水化物であるとされています1)。ウンチの正体は、75%が水分、5-10%が腸内細菌に由来する有機物、残りが未消化の物質などということです。
肉眼では確認できませんが、ウンチの中には、たくさんの腸内細菌が含まれているのです。
では、水と腸内細菌と未消化の老廃物を排便したくなる仕組みにせまります。キーワードは、反射です。脊髄反射という言葉が有名なように、意識されることなく起る体の働きを反射といいます。意識されないということは、すなわち脳を介さないでも、何らかの働きが起こっているということになります。
ここで登場する反射は2種類で、胃結腸反射と排便反射です。
胃結腸反射では、食べ物が胃に到達することで大腸が収縮することで、直腸に便を送り出す仕組みです2)。直腸に便が運ばれると、直腸の内壁を外へ押しやる圧力=直腸内圧が上昇します。
直腸内圧の上昇は、骨盤神経を刺激し、信号は脊髄の一部である第3-4仙髄へ送られます。第3-4仙髄=排便中枢から、排便反射によって意識とは関係なく、内肛門括約筋が緩みます。これによって、便は一歩外へ近づきます。
排便反射によって、蠕動運動が促進されることで便はさらに直腸へ集まってきます。ここで、更に直腸内圧が増加します。
排便中枢への信号は、脳にも到達して便意を生じます。ここではじめて、ウンチへ行きたいという欲求が生まれます。肛門括約筋には、便の最後の関門として外肛門括約筋が存在しますが、この筋肉によって外へ出たいウンチを中に何とかとどめています。
トイレに付けば、一安心。ウンチを出して良い状況を脳が認識し、遠心性骨盤神経を介して外肛門括約筋=最後の砦を緩めます。そして、腹筋に力を入れることで、腹圧を上昇させて、ウンチは外へ排泄されます。
晴れて、排便の完了です。
ウンチへ行きたくなる=便意を生じるまでには、胃結腸反射と排便反射が作用しています。ウンチが外へ出る一歩寸前の段階で、便意を生じるのです。
このように、排便は食事、蠕動運動、筋肉、神経などなど多様な要因によって制御されています。したがって、便秘の原因を知る上では、排便の仕組みをしっかり理解する必要があったのです。
今回は、ウンチの正体とウンチを出したくなる仕組みについて、深い世界をお話しました。次回は、便秘で悩むヒトの数についてお話していきます!
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本日も一日、お疲れさまでした。
1) Rose C, Parker A, Jefferson B, Cartmell E. The Characterization of Feces and Urine: A Review of the Literature to Inform Advanced Treatment Technology. Crit Rev Environ Sci Technol. 2015 Sep 2;45(17):1827-1879. doi: 10.1080/10643389.2014.1000761. PMID: 26246784; PMCID: PMC4500995.
2) 便秘の起こるメカニズム, 便秘, 佐藤製薬株式会社, Access: 20230313, URL: https://healthcare.sato-seiyaku.co.jp/anus/constipation.html