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現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠
便秘集中講義の第4回は、便秘とはどのような状態なのかお話していきます!第3回までに、日本人の約1/3が便秘の状態にあり、女性または高齢者であるほどその傾向が強いことをお話してきました。今回は、便秘とはどのような状態を指し、何が起こっているのかを中心にお話していきます。
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便秘の定義について、複数の文献から記述を引用してみましょう。まずは、Merckアンドカンパニーが提供するMSDマニュアルより便秘の定義を引用します1)。
続いて、厚生労働省も便秘の定義の根拠としている慢性便秘症診療ガイドライン2017より定義を引用します2)。
最後に、平成27年度日本内科学会生涯教育講演会の資料から、慢性便秘の定義を引用します。
以上3つの定義を参考に、腸内細菌相談室では便秘を「排便回数や量が不足することで、糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義します。この定義だけでは、自分が便秘と判断するのは難しいです。
そこで、便秘によって何らかの検査、治療を受ける必要がある状態となった「便秘症」の診断基準について、慢性便秘症診療ガイドラインから引用して確認します。
ここで、BSFSとはブリストール便形状尺度という便の水分量に関連して便の形状を分類する指標です。ブリストール便形状尺度には、1型-7型まであり、数字が大きくなるに従って便の水分量が多くなり形状も不定形になります。便秘になると、便の水分が失われ1型か2型に該当する木の実やソーセージ状の硬便となる傾向にあるので、診断基準の1つになっています。
MSDマニュアルの説明にある通り、便秘には急性と慢性があり、しっかりと区別する必要があります。ここでは、長期的な症状が続く慢性便秘について考えます。
また、注意すべきことは排便回数や量の個人差です。毎日排便するペースが正常である場合もあれば、週に2-3回の排便であれば正常である場合もあります。重要なのは、診断基準だけではなく、残便感を感じたり、排便時に強くいきむ必要があったり、排便に不快感や不調をおぼえるという自覚症状です。皆様の中に当てはまる方はいるでしょうか?
今回は、便秘の定義や診断基準について詳しく解説しました。次回の便秘集中講義では、便秘の分類と原因についてお話します!
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本日も一日、お疲れさまでした。明日は、エピソード200回を記念して、過去100回のエピソードを振り返ります。
1) 便秘、消化器系の病気の症状、MSDマニュアル 家庭版、Access: 20230314.
2) 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会編:慢性便秘症診療ガイドライン2017. 南江堂, 東京. 2017
3) Atsushi Nakajima, 2. Diagnosis and Treatment for Chronic Constipation, Nihon Naika Gakkai Zasshi, 2016, Volume 105, Issue 3, Pages 429-433,