#119 国内最大手のプロバイオティクス製造会社。株式会社ヤクルトと中央研究所。

更新日: 2022/12/26

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毎日夜19:30に更新中!腸内細菌相談室。
現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠

今週からスタートしたテーマである、プロバイオティクスの会社紹介!このテーマでは、乱立するプロバイオティクス製造会社について、事業内容や研究内容について深堀りすることを目的としてお話をしていきます。記念すべき第1段は、国内最大手のプロバイオティクス製造会社として知られる、株式会社ヤクルトについてのお話です。ヤクルトはいつ設立されて、どのような理念のもと、何を行っているのでしょうか?

今回のお話は、株式会社ヤクルトのホームページに基づいてお話をしていきます。

https://www.yakult.co.jp/

このお話は、聴いて楽しむポッドキャストでも公開しております!ぜひ遊びに来てください!

https://open.spotify.com/show/5cg5yMYD7FA9NQSSbksEVx

株式会社ヤクルト

ヤクルト1000やヤクルトレディなど、ヤクルトという言葉は一般常識として浸透しています。では、ヤクルトは何を意味する言葉なのでしょうか。

ヤクルトは、エスペラント語でヨーグルトを意味するJahurto(ヤフルト)を語源にもちます。エスペラント語とは、日本人にとってはあまり馴染みのない言語ですが、それもそのはず、どこかの国の言語というわけでは有りません。エスペラント語は、ルドヴィコ・ザメンホフらが考案した、母国語を共有しない人の間で意思疎通を活性化するために開発された人工言語です。エスペラント語にしたのは、創業者の代田稔博士の、ヤクルトを世界に普及したい思いから来るとされています。深い。

創業は1935年、会社設立は1955年です。あと10年ちょっとで創業100年を迎える老舗のプロバイオティクス製造会社となります。2022年3月末日の時点で、従業員数は2836名。名実共に大企業といえます。2022年3月の決算は、売上高が4151億、利益率が10.8%と非常に高いのが特徴です。

展開する事業としては、我々に馴染みのある食品事業をはじめ、国際事業や化粧品事業、医薬品事業、研究開発事業など多岐に渡ります。食品事業は、多くの方に認知があるので、今回はそれ以外の事業について簡単にまとめます。

まずは国際事業についてですが、こちらはヤクルトの商品を通して健康を世界に届けることを目的に、現地で生産して現地で販売することを大切にしています。現在39の国と地域で販売されているそうで、アジア・オセアニアだけでも台湾、香港、タイ、韓国、フィリピン、シンガポール、ブルネイ、インドネシア、オーストラリア、中国、広州、上海、北京、天津、無錫(むしゃく)、マレーシア、ニュージーランド、ベトナム、インド、アラブ首長国連邦、オマーン、バーレーン、カタール、クウェート、ミャンマーと、主要な都市にはヤクルト有り、といった感じです。こんなに世界に展開しているとは知りませんでした。

化粧品事業は、ヨーグルトの上澄みであるホエイなどを使用した化粧品を開発していて、体の内側のみならず外側にもアプローチしています。医薬品事業は、抗がん剤を中心にガンに関連する薬剤の開発を行っています。研究開発事業では、プロバイオティクスについての先端的な研究を行っています。では、研究拠点である中央研究所を覗いてみましょう!

中央研究所

中央研究所は、1955年4月に発足した代田研究所を前身とする、東京の国立に構える研究所です。 中央自動車道を使う方であれば、円形の研究所に見覚えがあるのではないでしょうか?

創業者の代田稔博士は、医学博士であり、ヤクルトが現在も研究活動に力を入れる源泉となっています。代田博士は、世界ではじめて乳酸菌の強化培養を成功させ、この菌はL. casei YIT9029、シロタ株と命名されました。強化培養とは、細菌の何世代にも渡る培養を通してある機能をもった細菌を選別する培養方法です。

現在、中央研究所ではL. caseiを始めとする乳酸菌の研究を主に行っており、先月11月に行われたIHMC2022でも学会発表を行っていました。個人的には、細菌株間の成長競合性に関する発表が面白かったですね。

中央研究所では、教育活動を始めとするアウトリーチにも力を入れています。YouTubeチャンネルもあります。

https://www.youtube.com/channel/UCX8yw8SBLw8ikH-Etcb__Ag

高い研究能力をもつ研究者、先端的な解析技術をもつヤクルトは、プロバイオティクスを研究する点においても、やはり国内最大手であるといえます。

ヤクルトの今後

今後も、株式会社ヤクルトは研究開発と商品開発を基軸に、様々な魅力的なプロバイオティクスを提供してくれると期待しています。やはり、自社に研究開発の能力があることは、シーズを自ら創出できることを意味するので、今後もしばらくはヤクルトの天下が続くのではないかと考えております。

ちなみに、ヤクルト1000については、#4でも紹介しているので、気になる方は覗いてみてくださいね。

https://note.com/chonai_saikin/n/nb6a2c4a78da5

以上、国内最大手のプロバイオティクス製造会社である株式会社ヤクルトについてのお話をお届けしました!

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本日も一日、お疲れさまでした。

参考文献

株式会社ヤクルト、Access: 2022/12/24

https://www.yakult.co.jp/


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