#114 ヨガの与える腸内環境への影響。炎症性腸疾患のレビュー論文から。

更新日: 2022/12/21

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現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠

今回のエピソードでは、運動と腸内環境の関係についてのお話第3段ということで、ヨガと炎症性腸疾患の関係についての研究をご紹介します。炎症性腸疾患とは、腸の炎症について寛解と増悪を繰り返す疾患であり、難病指定されています。近年は、炎症性腸疾患患者の腸内環境は健常者とは異なることが示唆されており、腸内環境と密接に関わる疾患として知られています。今回ご紹介する研究は、"Yoga in Patients With Inflammatory Bowel Disease: A Narrative Review"というレビュー論文にまとめられており、ヨガを行うことで炎症性腸疾患の症状が改善されることが示されています。

では、ヨガの腸内環境へのパワーについてお話していきます!

このお話は、聴いて楽しむポッドキャストでも公開しております!ぜひ遊びに来てください!

https://open.spotify.com/show/5cg5yMYD7FA9NQSSbksEVx

寛解期の炎症性疾患患者に対して有効なヨガ

研究の方法はシンプルで、2000年5月から2021年8月までに発表された論文をOvid MEDICINE、google scholarから収集してきます。ここから、炎症性腸疾患、ヨガ、QOLなどの単語に該当する論文を探索し、得られた論文の内容について吟味します。ヨガとIBDに関連のある論文について、知見をまとめたというのが今回の論文のポイントです。

ここでは、まとめられている4つの研究のうち2つの研究結果についてお話します。捕捉として、ここから出てくる潰瘍性大腸炎やクローン病は炎症性腸疾患の一種です。

1つ目の研究は2017年Cramerらのランダム化比較試験の結果です。この研究では、24週間に渡って77名の症状が落ち着いている寛解時期の潰瘍性大腸炎患者に対するヨガの効果を検証しています。結果としては、ヨガはQoLが低い潰瘍性大腸炎患者に対する安全な補助的介入になることを報告しています。

2つ目の研究は、2015年Sharmaらのランダム化比較試験の結果です。寛解時期の60名の潰瘍性大腸炎患者、40名のクローン病患者に対して、ヨガと薬物療法の効果を比較しています。8週間の介入の結果、ヨガはIBD患者に対して安全で効果的な補助的治療法であると結論付けています。

この研究では何を言いたかったのか

では、この研究では何を言いたかったのでしょうか。

この研究では、炎症性腸疾患とヨガに関係する論文を集めてきて、知見をまとめたところ、炎症が落ち着いている炎症性腸疾患患者がヨガを行うことは、補助的な治療として有効であるということが分かりました。今回の研究では、腸内環境とヨガの関係を調べていましたが、今後特定の腸内細菌とヨガの関係について明らかになると面白いですね!

以上、ヨガの与える腸内環境への影響を、炎症性腸疾患のレビュー論文からお話しました。

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本日も一日、お疲れさまでした。

参考文献

Sandeep Kaur, MBBS, Adrijana D’Silva, MHS, Abdel-Aziz Shaheen, MD, Maitreyi Raman, MD, Yoga in Patients With Inflammatory Bowel Disease: A Narrative Review, Crohn's & Colitis 360, Volume 4, Issue 2, April 2022, otac014, https://doi.org/10.1093/crocol/otac014

https://academic.oup.com/crohnscolitis360/article/4/2/otac014/6568593

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