#161 腸内細菌検査の流れ。

更新日: 2023/02/06

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毎日夜19:30に更新中!腸内細菌相談室。
現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠

今週のエピソードテーマは、日本国内における腸内細菌検査サービスについてです!これまで、160話の腸内細菌に関するエピソードをお届けしてきて、読者やリスナーの皆様のお腹の中について、より高い解像度で理解できるようなお話を心がけてきました。皆様1人1人にユニークな腸内細菌叢が宿っていて、今までのお話はすべて自分の体に関係してくるお話です。究極の自分ごとに関する研究の1つが、腸内細菌叢の研究なのです。

その中で、ご自身の腸内細菌叢は一体どうなっているのか、気になってはきませんか?そこで、今週は腸内細菌叢の検査サービスについてのお話をしていきます。今回は導入として、どのように腸内細菌叢を調査するのか、手法についてお話していきます。

このお話は、聴いて楽しむポッドキャストでも公開しております!ぜひ遊びに来てください!

https://open.spotify.com/show/5cg5yMYD7FA9NQSSbksEVx

まずはサンプルを採取するところから

腸内細菌叢を調査するためには、サンプルを採取する必要があります。サンプルの種類は、糞便、腸管内容物、腸管粘膜です。とはいっても、腸管内容物や腸管粘膜は、研究や医療目的での採取になるので、一般的なサービスとしての腸内細菌の検査では糞便が主流です。以降、研究や医療機関ではなく、サービスとしての腸内細菌の検査についてお話していきます。

糞便は、検便の要領で採取します。自宅で採便する場合もあれば、クリニックで採便する場合もあります。採便後は、便サンプルを保存容器に入れます。溶液に浸す場合もあれば、密閉保存する場合もあります。採取後、できるだけすぐに検査をする必要があるので、郵便ポストへ投函することで検査センターに郵送します。便の採取から検査までの時間は短い方が好ましいので、採便をしたらすぐに投函をしてしまうことをおすすめします。

他にも、食生活などのアンケート調査が含まれる場合があります。これによって、腸内細菌叢と食生活を踏まえたアドバイスを受けることができます。場合によっては、アンケートも採便キットに同封して郵送します。

検査機関で行われること

ここからは、自分の手を離れて検査機関で何が行われるのかを大まかに解説します。まずは、DNA抽出です。

便サンプル中に含まれる腸内細菌のDNAを抽出します。抽出では、無菌環境において操作を行うことで、汚染=コンタミネーションを防ぎます。得られたDNAについて、解析する内容によって異なる操作が行われます。解析する内容として、腸内細菌検査サービスで主流なのが16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンシングです。研究や医療機関においては、ショットガンメタゲノムシーケンシングが行われる場合もあります。

16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンシングは、腸内細菌叢を構成する菌の種類を解析するのに適している一方で、例えば短鎖脂肪酸などの代謝に関連する解析には限界があります。一方、ショットガンメタゲノムシーケンシングでは、腸内細菌の組成や機能について解析ができる一方で、コストが高くサンプル量が必要であることが欠点です。したがって、ショットガンメタゲノムシーケンシングは、現時点(2023年2月)では、一般向け腸内細菌叢解析に不向きなのです。シーケンシングについて詳しく知りたい方は、#82にてお話しているので是非聞いてみてください!

このような理由から、16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンシングが、一般向けの腸内細菌叢解析には用いられています。

実際に、どのような結果が得られるのか?

では、実際にどのような腸内細菌に関するデータが得られるのか、覗いてみます。室長は、以前株式会社メタジェンのサービスにて腸内細菌の調査を行いました。こちらが、結果として帰ってくる腸内細菌叢のタイプの一部になります。

室長は、バクテロイデスが多い腸内細菌叢を持っています。また、次のように腸内細菌叢のタイプの他にも、疾患を発症した患者様の腸内細菌叢とどれくらい似ているか、腸内細菌叢を改善するにはどうすればよいかなどを確認することができます。腸内細菌叢以外のアドバイス項目については、各社が差別化を図る項目になると言えそうです。

自分の再発見

このように、自分の再発見として腸内細菌叢を覗いてみることで、健康診断だけでは分からない自分について知ることができます。皆様も、機会があれば腸内細菌について調べてみるのはいかがでしょうか?

今週は、そんな一歩を後押しするために、腸内細菌叢の調査サービスについてお話していきます。

以上、一般的な腸内細菌検査の流れについてお話しました。

腸内細菌相談室は、腸内細菌について分からないことがある、あなたのために存在します!わからないこと、難しいこと、紹介してほしいことがあれば、メッセージお待ちしております。論文の紹介から、基礎知識の解説まで、腸内細菌相談室を使い倒して下さい!あなたのリクエストが番組になります。

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本日も一日、お疲れさまでした。

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