#203 【便秘集中講義】第7回:便秘の基礎知識。

更新日: 2023/03/20

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現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠

便秘集中講義の第7回は、ここまでにお話してきた6回分の講義内容を復習することで、これからお話する腸内細菌叢と便秘の関係にまつわるお話に備えます。ウンチを出す仕組みや便秘の原因について、皆さんは何も見ることなく説明できますか?何度も反復をして、知識の定着を確実なものにしていきましょう!

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ウンチの正体

まずはウンチの正体について復習します。ウンチの構成成分について、皆さんは思い出すことが出来ますか?少し考えてみてください。

ウンチは、75%が水分、残りの25%が乾燥固形成分です。この25%の中で、25%-50%程度が腸内細菌に由来する有機物であり、残りは未消化の物質です。ということで、ウンチは腸内細菌と未消化物質の塊です。ちなみに、ウンチに含まれる腸内細菌の種類によって、浮かびやすいウンチか否かが決まっています。

ウンチへ行きたくなる仕組み

では、腸内細菌と未消化産物の塊であるウンチは、どのように排便されるのでしょうか。ここでは、2つの反射として、胃結腸反射と排便反射が登場します。

胃結腸反射では、食事が胃に到達することで、結腸へシグナルが伝えられ、蠕動運動が促進されることで直腸に便が押し出される反射です。

排便反射は、直腸にウンチがたまることを感知して排便反射がおこり、内肛門括約筋が弛緩するとともに、排便中枢から脳へシグナルが到達して便意を生じます。便意を生じてから、トイレへ向かい、ウンチをする準備が整った段階で、意識的に外肛門括約筋を緩め、腹筋に力を入れて腹圧をかけることでウンチの排泄が完了します。

この排便反射が鈍ることは、便秘の原因になります。

復習したい方

https://note.com/chonai_saikin/n/n3887f5fdc625

便秘とはどのような状態か

では、便秘とはどのような状態なのでしょうか。文字を解釈すると、ウンチ(便)が秘められている状態ですね。腸内細菌相談室では、便秘を「排便回数や量が不足することで、糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義します。

また、便秘になった結果、治療を受ける必要がある状態となった場合には便秘症の診断基準を満たすか確認します。便秘症の診断基準としては、強くいきむ必要があるか、便の形状はどうか、残便感を感じるか、などです。QOLの低下を感じ、かつ身体に不調を感じた場合は病院での受診を強くおすすめします。

復習したい方

https://note.com/chonai_saikin/n/n626a9b6c798c

便秘は珍しくない

便秘に対しての重要な視点は、便秘は全く珍しく無いということです。厚生労働省の2019年の統計によると、日本国民全体の1/3、65歳以上の2/3が便秘です。便秘は全く珍しい状態ではありません。

また、便秘の方の割合には男女で性差があります。男性全体の1/4が便秘であるのに対して、女性全体の1/3以上が便秘です。高齢化するとこの傾向は顕著であり、65歳以上の男性全体の約2/3が便秘、女性全体の約3/4が便秘になります。

ですから、高齢者になるとむしろ便秘は普通な状態とも考えることが出来ます。

復習したい方

https://note.com/chonai_saikin/n/n0c2a35e5d378

便秘の分類

便秘と一括に表現しても、その原因は様々です。慢性便秘の中で、一過性のストレスや環境、食生活の変化に起因する場合は一過性単純性便秘と呼ばれています。一方、便意を催すのに排便を控えたり、下剤や浣腸を乱用することで排便反射が弱まることが原因の場合は、直腸性(習慣性)便秘と呼ばれます。他にも、大腸の蠕動の低下によっておこる弛緩性便秘、ストレスや自律神経の失調により起るけいれん性便秘などもあります。薬の副作用として起る薬剤性便秘も存在します。

病院での受診の必要性が高いのは、今までお話してきた機能性便秘とは異なる、器質性便秘です。器質性便秘では、腫瘍の形成や炎症などの腸管異常とそれに伴う通過障害、疾患や薬物中毒に由来する腸管運動の麻痺が原因となって便秘となります。

便秘は、別の疾患の合併症として現れている場合もあります。不調や気になることがあったら、病院での検査をオススメします。

復習したい方

https://note.com/chonai_saikin/n/nd6df55155683

便秘と腸内細菌叢

便秘について理解が深まった今、次なるトピックは腸内細菌叢との関係です。便秘患者の腸内では、特定の腸内細菌の増減、腸内細菌に由来する短鎖脂肪酸や二次胆汁酸、メタンなどの腸管への影響が報告されています。

次回からは、便秘と腸内細菌叢の最新研究から、プロバイオティクスの話まで取り上げていきますので、お楽しみに!

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また次回、お会いしましょう!
本日も一日、お疲れさまでした。


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